水圏環境改善技術(末永 慶寛)

香川県では、ため池や河川さらには瀬戸内海へ様々な排水が流入し、環境の悪化が深刻な問題となっています。特に、アオコ、赤潮の発生や水中の酸素不足が水質・底質を悪化させ、生物が棲みにくくなり良好な水環境が失われてきています。鉄の製錬過程で発生するスラグ(鋼さい)、ため池底泥や砕石の端材等の産業副産物の有効利用に着目した新たな水圏環境改善技術の開発に取り組んでいます。

水圏環境改善技術・府中湖の外観

水圏環境改善技術・アオコ

 ▲府中湖の外観  ▲湖面に発生したアオコ

 

水圏環境改善技術・環境改善ブロック

 

▲産業副産物を利用した環境改善ブロック(アルカリ度の低い環境にやさしい材料)

水圏環境改善技術・ブロック構造

 

▲ブロックを連結して護岸に適用(ブロック内を水が通過する構造)

新技術の開発

1.産業副産物を用いた炭酸化多孔質体製造技術
→1トン製造するのに約100kgのCO2を削減可能
2.炭酸化多孔質体を用いた環境改善用ブロックの開発
(1)浸透性の低いコンクリート体との融合で保水性が高く、所要強度も確保。
(2)多孔質体であることから、多様な生物の生息環境を形成し、気孔径を制御することで、目詰まりし難く、機能の持続性が高い。
(3)下部ブロックを型枠として利用し、上部の鉄鋼スラグ多孔質体を打設することにより、製作工程の簡略化と施工性を向上、製作コストの低減を実現。
(4)本体からケイ素を溶出させ、植物プランクトン優占種を制御し、藍藻類によるアオコ発生を抑制。
(5)ブロック本体に水路を設けることで水の滞留時間が長く、多孔質体中の微生物の発生および水質浄化機能を促進。

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