川嶋なつみ/知能機械システム工学科1年

A)    はじめに
今回私は9月16日から9月22日にかけてドイツを訪問した。私自身初めての海外であったので多少の不安はあったが、前期に英語とドイツ語を履修していた身として現在の自身の言語能力を実地で測れるということ、そして海外の大学を訪問して見学出来ることが楽しみで仕方無かった。実際、ドイツに滞在中は己の言語能力不足に酷く悩まされたが、今回の経験から今までの勉強スタイルを深く見直し、これからの勉学への意識に大きく繋がった。

B)    1日目
私はシンガポール航空を利用し、関西国際空港からシンガポールを経由してドイツのミュンヘン空港に到着した。到着時刻が午前5時(以降記述する時間は全て現地時間とする)だったので、ホテルに到着してもまだチェックインが出来なかった。そのため、スーツケースだけホテルに預け、今回道中を共にした四茂野さんと平尾君と共にミュンヘン市内の探索に繰り出した。
当たり前のことだが、ミュンヘン市内は全く日本とは異なった風景が広がっていた。
まず、全て同じ高さのマンションのような四角い建物がズラッと道路の脇に林立していたことに驚いた。建物の色は様々で、とてもカラフルだった。建物の形状は日本のマンションのようなものであるにも関わらず、その色の多様さが街の景観を華やかにしていた。そして、驚いたことに電柱が全く無かった。ところどころ、建物と建物の間に電線のようなものが繋がっていたがそれだけで、無骨な電柱が無いことが街の風景をより良いものしていると感じた。

ミュンヘンの街並み
ミュンヘンの街並み

ミュンヘン市内で1日何度もドイツ鉄道を利用出来るチケットを買っていたので、私たちはそのチケットをこれでもかと使用し、ミュンヘン市内のあちこちを巡った。その後、夕方6時半に先生方や先輩方と合流し、協定校訪問開始のミーティングをした。そして、全員でマリエン広場のレストランへ夕食を食べに行った。初めての海外での食事で口に合うか等の心配はあったが、ドイツ料理はとても美味しかった。料理は肉料理が多く、非常に量が多い。初めての海外で気持ちが高ぶっていたのもあり、10時間以上足が棒になるまでミュンヘン市内を歩き回ったために空腹であった身でもすべて食べ切るのは難しかった程である。

C)    2日目
午前中はミュンヘン工科大学に表敬訪問した。ミュンヘン工科大学はドイツでも屈指の大学であり、ノーベル賞を獲得した研究者も多数輩出している素晴らしい大学である。そんな偉大な大学に表敬訪問出来ることを喜ぶと共に、とても緊張した。大きな会議室のような部屋に通され、ミュンヘン工科大学についての説明を受けた。勿論全て英語で説明されたが、何より面食らったのが説明者の話すスピードが速いこと。自身の英語聞き取り能力の低さに衝撃を受けた。ところどころ単語は拾えたため何とか繋ぎ合わせて理解しようと必死になっていたところ、秦先生が「生徒達が聞き取れていないようなのでもう少し話すスピードを遅くして欲しい」と申し出て下さった時は先生方や説明して下さっている方に面目次第もなかった。だが、気を取り直して若干スピードを緩めて下さった英語を出来る限り聞き取る努力をし、資料を参考にしながらミュンヘン工科大学の制度や教育方針等について学んだ。そして、質問出来る程に聞き取ることが出来なかったことも悔しく思った。折角説明して下さったのに、質問して説明が理解出来たと示すことが出来なかったことが真に遺憾に思う。
ミュンヘン工科大学の説明が終わった後、大学の屋上に案内してもらった。屋上からはミュンヘン市内を一望することが出来、時計台や教会、ドイツ特有の建物によって織りなされる景観から、ミュンヘンの美しさに胸が躍った。屋上にはカフェテラスもあったので、将来またミュンヘン工科大学にくるような機会があれば是非ここでミュンヘンの街並みを見ながらお茶したいなぁ、などという思いも湧きあがった。
その後、大学の研究内容紹介のプレゼンテーション発表や、研究室見学があった。私は香川大学でロボット研究所に所属していることもあり、ロボットには元々興味があったので、ロボットを作り研究している研究室での説明が完全ではなくとも聞き取ることが出来、理解することが出来た。

ロボットと写真撮影
ロボットと写真撮影

ミュンヘン工科大学での表敬訪問が終了し、大学の食堂で昼食をとった。
そして午後からは、谷村先生という40年以上ドイツに滞在なさり日本語やドイツの歴史を教授なさっている方に、ドイツの歴史の講義をしていただいた。ドイツの歴史はある程度勉強して協定校訪問に臨んだ私だったが、その程度の知識は谷村先生の講義の前では取るに足らないものだった。ドイツの歴史に関するユニークな背景や出来事などの知識が抵抗無く頭に入ってくる楽しい講義で、教科書には書いていないことを学べる、非常に貴重な体験だった。講義の後は、谷村先生の解説付きミュンヘン市内探訪。この市内探訪で回った名所は、マリエン広場の新庁舎や旧庁舎・フラウエン教会・ピナコテーク等といった観光名所としてはかなり有名な場所であり、1日目に何気無く訪れた場所ではあるが、初見では特に深い感慨を受けなかった建物に、実は意外な歴史があったりしたので、ただ観光するだけでは得られない感動が沢山あった。

新庁舎
新庁舎

その後残りの時間は自由時間となり、市場を巡ったり、土産屋に顔を覗かせたりした後は、ホーフブロイハウスというレストランで夕食をとった。その時隣の席に座ったドイツ人のおじさんがまたユニークな方で、英語で簡単な会話をしたり、全員で乾杯したり、先輩達はビールを飲み交わしたりしていた。店員の女性の方も気さくな方だったので、ドイツでのレストランにおけるマナーを知らなかったりして怒られたりもしたが、冗談を言いあったりして楽しい時を過ごすことが出来た。

夕食の席で出会ったおじさん
夕食の席で出会ったおじさん

D)    3日目
シーメンス研究所を訪問した。もっと堅苦しいものを想像していたが、シーメンス研究所の敷地内はとても緑が多く、また、建物も白や黄色を基調としたものだったので、大学のような雰囲気を醸し出していた。研究内容を英語で説明してくれた時は再び己の実力不足に悩まされたが、しんぼう強く噛み砕いて説明して下さったので、大体理解することが出来た。様々な種類、様々な用途に使われる機械を沢山見て学ぶことが出来たので、機械工学を学ぶ私にとっては勉強になることばかりだった。また、研究員の方達もにこやかに説明して下さったので、リラックスして聞くことが出来た。

シーメンス研究所
シーメンス研究所

そして研究所訪問が終了し、午後からは自由行動となった。私はそのまま能見先生達について行ってBMW博物館に向かった。BMW博物館の外観は想像以上に壮観で、館内でバイクショーが行われており、憧れのブランドの車やバイクを見ることが出来て嬉しかった。年代別に開発された車・バイク・モーター・エンジン等が展示されており、BMW独特のデザインを堪能することが出来た。

E)    4日目
この日はミュンヘンからボンへの移動がメインだった。ICEに乗って5時間の電車の旅だったが、車窓からライン川を見ることが出来たり、ドイツ独特の田舎の街並みを見ることが出来たので中々貴重な旅となった。

車窓から見たライン川
車窓から見たライン川

ボンに到着し、自由行動の時間が若干あったため、ボンの町に散歩に出たりした。ボンはミュンヘンとはかなり雰囲気が違い、ミュンヘンのような華やかな感じではなく、建物は割とモノトーンな色合いのものが多く、道路は黒と灰色の石畳だった。さらに、道は迷路のように分岐点が多く、何度か迷いそうになる程だった。

F)    5日目
ボン=ライン=ズィーク大学に表敬訪問に行った。ボン=ライン=ズィーク大学は比較的新しく出来た大学ではあるが、全国から沢山の学生が語学留学やインターンシップ等で訪れている大学である。ボン=ライン=ズィーク大学紹介のプレゼンテーションでは、ゆっくりとした英語で発表して下さった。その後バームクーヘンやチョコレートやジュースをいただき、しばし休憩をした。そして、研究室を回り、研究内容の説明を受けた。ボン=ライン=ズィーク大学でもロボットの研究をしており、ミュンヘン工科大学とはまた別の趣旨の研究だったので勉強になり、今後香川大学で機械工学を学ぶことへの士気が上がっただけでなく、ロボ研で出場するロボットコンテストへの企画案の参考になるような有意義な内容だった。研究室見学が終わり、続いては協定校訪問参加生徒による、香川大学や日本、そして大学生活についてのプレゼンテーションの時間となった。とても緊張したが、台詞をほぼ覚えて臨んだので自然体で余裕を持って発表することが出来た。プレゼンテーションの後はボン=ライン=ズィーク大学の生徒の方の希望により、突如折り紙教室が行われた。日本の文化に興味があったらしく、私達にとって当たり前のことでもやはり外国の人にとっては物珍しいのだと再認識させられ、自国の文化、つまり日本の文化ももう少し興味を持って研究してみようと思った。

ボン=ライン=ズィーク大学集合写真
ボン=ライン=ズィーク大学集合写真

G)    6日目
協定校訪問最終日の午前はフランフォーファー研究所に訪問した。研究所紹介のプレゼンテーションは専門的な内容が多かったが、パワーポイントの画像等のおかげで大方理解することが出来た。レーザー等の研究内容だったため、あまり馴染みの無い分野だったが研究内容に興味が湧いたので少し調べてみようと思う。

フランフォーファー研究所にて
フランフォーファー研究所にて

研究所見学が終わった後はケルンに移動し、ケルン大聖堂へ行った。ケルン大聖堂はパンフレットで見た外観とは全く違い、想像以上の威圧感に一瞬思考が止まった。荘厳な雰囲気を醸し出し、ケルンの町の中央に鎮座している大聖堂の存在感は圧倒的で、聖堂内に入ることが出来た時は感動した。内装も素晴らしいもので、ステンドグラスが綺麗だった。
ケルンでの自由行動の後は、協定校訪問最後の全員の夕食会で、和気藹々とドイツでの最後の夕食の時を過ごした。

H)    謝辞
この度、こうして無事に協定校訪問を遂げることが出来たのは、沢山の方々に助けて頂いたからである。訪問団長である能見准教授や顧問の秦教授には訪問先との手筈を整えて頂き、松島教授には渡航中に大変お世話になった。谷村先生にはドイツの歴史の講義や市内案内をしてくださったし、また、高橋教職員には準備会や渡航の段取り、訪問期間中もお世話になった。そして、工学部後援会からは資金援助を頂いた。
沢山の方々に支えられての今回の協定校訪問。この貴重な経験で得られたことは、これからの学生生活に目一杯活かしていきたいと思う。

文末になりましたが、この度の工学部協定校訪問プログラムにおいて協力して頂いた方々に、心から感謝の意を表します。

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