地域に貢献する魅力あふれる大学を目指して香川大学 出席者】◆高松市長 大西秀人◆帝國製薬株式会社 代表取締役社長 藤岡実佐子(本学経営協議会委員)◆NHK高松放送局 局長 杉岡純◆香川大学 学長 長尾省吾◆司会:香川大学 参与 高木健一郎(敬称略)

少子化、高齢化が急速に進み、地方創生が叫ばれる現在、地域社会において国立大学が担うべき役割や期待は益々大きくなっています。そこで、香川大学が今後一層地域に貢献できる大学になるためには、どのような視点での取り組みが求められているのか、地域のリーダーの皆様からご意見を伺いました。

長尾 本日は、当座談会にご出席くださり、有難うございます。 私が学長に就任して4年が経ち、この10月から2期目として、さらに2年間務めさせていただきます。 ご存知のように、国では、国立大学法人が6年間で達成すべき目標を「中期目標」として定め公表しています。平成28年度からの第3期中期目標・中期計画において、本学は、地域活性化、地域貢献の核になることをミッションといたします。 これまで、運営費交付金の漸減が続く厳しい状況の下、教育、研究、社会貢献、国際交流、運営等において様々な改革を進めてまいりましたが、本日は皆様から貴重なご意見をいただき、今後の大学運営の参考にさせていただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

香川大学 学長 長尾省吾

地域活性における大学の役割

司会 近年、地方創生が言われています。まず、「たかまつ創生総合戦略(仮称)」の策定に取り組んでおられる高松市の大西市長に、地方創生において本学が担うべき役割について伺います。

高松市長 大西秀人

大西 人口減少、少子・超高齢社会が現実のものとなり、現在の1億3,000万人弱の人口が、45年後の2060年には中位推計で8,700万人程度に減少すると言われています。その時には、65歳以上の高齢者比率も40%程度になると言われます。これはわが国全体の数字ですが、都会への人口集中は今後も続くとみられ、地方圏ではもっと極端な人口減少・高齢化が進みます。高松市も例にもれず厳しい状況を迎えざるをえないだろうと予想されます。それを前提として、「人口減少を若干でも抑制できるのか」、あるいは「人口が減って高齢化しても、地域の活力、人々の生きがいや、幸せ、豊かさを確保できるまちづくりができるのか」という事を考える必要があります。このような状況を踏まえ、国が「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定しており、それに基づき、高松版の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を練っているところです。

 高松市の人口は現在約42万人ですが、出生率が現在のままだと2060年には28万人くらいになると推計されています。子どもを生み育てやすい環境を整えることを中心に対策を行い、出生率を上げることで、36万人くらいまでには減少を抑制できるのではないかと考えています。かなり厳しい目標ですが、実現のため戦略を練っています。人口問題の中で大きなテーマとして挙げられるのが、高松市に18~20歳代の若者が非常に少ないという点です。香川県では18歳の進学者のうち8割が県外に出て行き、2割しか残らないという状況があります。そのために「若者が定着するようなまちづくり」、あるいはもう1歩進んで「若者から選ばれるまちづくり」を行うことも目標です。
 県内の進学者を受け入れられる定員=キャパシティーの不足というのも一つの大きな問題です。さらに、できるだけ地元の高校生が進学したくなる学部・学科を揃えて教育していただく、あるいは、キャリアに繋がる教育がなされている、独自性のある研究が行われているなど、大学の魅力アップも欠かせないと思います。
 このような事を中心に、市の地方創生の総合戦略と、大学が上手く協力しあって、若者から選ばれるまちづくりを進めていくことができればいいのではないかと思います。