サークル紹介(大学フォト)
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18歳選挙権の「結果」と「今後」

 今年の7月に、投票権年齢が18歳に引き下げられて最初の国政選挙となる参議院議員選挙が実施されました。若年層の投票率の低さは長年、問題視されており、新たに選挙権を得た10代の若者の投票率には大きな注目が集まりましたが、結果は46.8%(18歳が51.3%、19歳が42.3%)でした。有権者全体の投票率が54.7%でしたから、他の世代と比較するとこの値は「低かった」と言わざるをえませんが、20代前半の投票率が33.7%であったことを考えれば、10代の半数近くが投票したということは肯定的に捉えられてよいと思います。

 では、10代の若者はどのような理由で投票したのでしょうか。明るい選挙推進協会が行ったアンケート調査によれば、「政治をよくするためには投票することが大事だから」という理由と並んで、「選挙権年齢が引き下げられて初めての選挙だから」という理由で投票した人が多かったようです。今回の参院選では18歳選挙権への注目度が非常に高かったことに加え、18歳選挙権導入を受けて、高校での主権者教育や選挙に関するイベントの開催、大学等での期日前投票所の設置など様々な取り組みがなされました。こうして考えると、「初物効果」で10代の投票率が高くなった面があることは否めないでしょう。今後の選挙では10代の有権者への注目度は下がることになるでしょうが、それでも今回のように多くの10代の若者が選挙に関心を持ち、今回投票した若い有権者が今後も投票し続けることが望まれます。そのためには、高校や大学での主権者教育などを通じて、今後も継続的に若い世代に選挙や政治について考える機会を提供していくことが重要となるでしょう。

 ところで、10代の投票率に関しては、地域によってかなりのバラツキが見られた点にも注意を払う必要があります。最も高かった東京都では57.8%を記録したのに対し、最も低かった高知県は30.9%にとどまりました。ちなみに、トップ5は東京都、神奈川県、愛知県、奈良県、埼玉県、対するワースト5は高知県、宮崎県、愛媛県、徳島県、そして残念ながら香川県(36.5%)でした。

 このランキングからも推測できると思いますが、データからは大学等への進学で地元を離れる人の割合が多い地域ほど、10代の投票率は低くなるという傾向が確認できます。香川大学でもそうですが、地元を離れて進学しても住民票は実家に残している、つまり、選挙権は地元の市区町村にあるという学生が大半です。こうした学生が投票しようとすれば、地元に帰って投票するか不在者投票を行わなくてはなりませんが(ただし、厳密にはこのような投票の仕方は法律上、認められていません)、これにはかなりの時間や手間がかかりますから、地元を離れて進学した学生の多くは棄権してしまうことになります。住民票の移動の徹底か、不在者投票の仕組みの改善か、あるいは住民票は地元に残していても進学先で選挙権を持てるようにするか、解決の方向については様々な考え方があるでしょうが、いずれにしても今後、大学生の選挙権の問題を議論していく必要があるでしょう。

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専門分野/研究分野

選挙研究、政党・政治家・有権者の関係の研究

趣味/マイブーム  
大学生のときから(それなりに真剣に)ソフトボールをやっています。女子のソフトボールが東京オリンピックで「復活」することが話題となっていますが、男子のソフトボールももっと盛り上がってくれたら、と願っています。

研究をしていて面白かったことは?
研究をしていて達成感が得られるのは、やはり仮説がデータや資料で確かめられたときです。ただ、最初に閃いた仮説が「当たっている」ことは稀で、たいていはトライ・アンド・エラーを繰り返すことになるわけですが、たまたま目にした新聞記事であったり、専門の異なる先生や学生との会話であったり、直接、研究とは関係のないものがヒントになることがあります。そのようなとき、研究の面白さというか不思議さを感じます。
氏名:堤 英敬  
所属・職名:法学部 ・教授